あえて伝えます・・・ロストワックス鋳造の弱点
「結構時間がかかりますね・・・」
残念ながら、試作や第一回目の量産時にお客様からこの様なお声を聞くことがあります。モリチュウはスピード対応に心がけているのですが、まだまだご満足いただけてない事が多くあることに、改めて反省すると共に、今後に向けての改善をしていかなくてはと気を引き締めているところです。
私たちが敢えて別ブランドとして立ち上げた「ステンレス鋳物のプロ」の基本的な作り方である「ロストワックス鋳造法」は、様々な素材に対応できる点、あるいは複雑形状、薄肉一体化に対して非常に適した作り方であることは間違いありません。ただしそうは言っても、ロストワックス鋳造法に欠点がないわけでありません。言い訳ではないのですが、どうしても時間がかかってしまう要因があります。今回は、あえてその欠点について触れたいと思います。
※「ステンレス鋳物のプロ」は創業80年の経験から、鋳物技術、ステンレス等素材の特性、そして厨房機器・食品機械メーカー様の業界特徴やニーズを熟知した上であらゆる対策を講じることが可能な「ものづくり設計サポーター」です。
ここで、ロストワックス鋳造の工程について簡単に振り返りたいと思います。
まず、最初に蝋型を作る工程があります。実は蝋型製作工程自体はそれほど長い期間を要するわけではありません。
その後、蝋型をスラリー(セラミックを含んだ液体)に浸漬し、表面をコーティングします。このなめらかなコーティング剤がロストワックス鋳造品の鋳肌を決定づけます。
スラリーをコーティングをした後、更にセラミックの粉末をコーティングしていくのですが、その工程に実は大きな課題が潜んでいます。
それは何かと言うと、蝋型にセラミック材をコートをしていくたびに、乾燥をしなくてはならい・・・ということです。この乾燥工程では、強制的に熱をかけて乾燥させるわけには行きません。なぜならセラミックコーティング(シェルと言います)が割れてしまうからです。従って、ある程度管理された温度の中で自然乾燥をさせるしかありません。そして、実はこの工程を平均して7回ほど行います。実はここの工程で時間がかかってしまうのですが、ここで焦ってしまうと必ず不具合が出ます。したがって、端折ることは出来ません。
複雑形状・薄肉一体化の特徴を持つロストワックス鋳造ですが、コーティング材の乾燥に時間がかかることだけはぜひご理解頂きたいと思います。
では、「乾燥時間がかかるからしょうがない」と開き直るのかと言うと、そんなことはモリチュウではあってはいけないことです。現在この乾燥時間にかかる時間を相殺するために、試作段階での金型を作らない「3Dプリンターによる蝋型」を活用した試作のご提案や、量産品の在庫管理サービスなどで、出来るだけ納期を短縮するご提案をしております。
実際に3Dプリンターを使った試作のご提案で、想像以上に実地試験が進んだというお話もいただいております。
「ステンレス鋳物のプロ」だからこそ、欠点、弱点をしっかり理解し、それを埋め合わせるべく対策を取りながらお客様対応をしていく。これがモリチュウのモットーです。ロストワックス鋳造品にご興味のある方、あと普通の鋳造品や、ガス管のフロードリル加工に興味のある方もお気軽にお問い合わせください。
モリチュウでは、お客様のニーズに合わせて、素材や製造方法のご提案をしています。
調達面での課題、開発面での課題について、お話を聞きながら解決策のご提案をいたします。進めてしまってから後に戻るリスクを避けるためにも、今モヤモヤしていることがあれば、是非以下URLよりお問い合わせください。何か新しいヒントが見つかるかもしれません。
これからも、こちらのコラムでは、素材や製造方法、そしてお客様のお役に立つ取り組みなどをご紹介していきます。
株式会社モリチュウ
代表取締役 森 雄児