「脱溶接、複雑形状の一体化で出たメリットとは」
「これ、今まで溶接で作っていたんだけれども、ロストワックス鋳造でできるかなぁ」。
先日お客様からいただいたお問い合わせです。
それは厨房機器に使われる金属部品の一部ですが、簡単に言うと「シャフトの様な棒状のパーツに円盤状のものが溶接されて作られている」部品でした。ただ単純ではなく、シャフトに溝の加工がしてあり、やや複雑な形状でした。
モリチュウとしては見た瞬間、基本的には製作可能だと判断しましたが、シャフト部分の反りには気を付けないといけないと考えました。
※「ステンレス鋳物のプロ」は創業80年の経験から、鋳物技術、ステンレス等素材の特性、そして厨房機器・食品機械メーカー様の業界特徴やニーズを熟知した上であらゆる対策を講じることが可能な「ものづくり設計サポーター」です。
部品の製作をする中で、「いままで溶接で作っていたから」、「削って作っていたから」とその作り方を踏襲しているケースが良くあります。それはそれでとても大事なことです。というのは、今まで特に問題が出ていないということは良い製品だということだからです。なので変更をする必要は無いかもしれません。
しかし、逆に言うと発展性が無いとも言えます。特に時代の変化が早く、めまぐるしく事業の環境が変わる中では、今まで通りにやっていればよいという訳には行かないのも事実です。かつてはコスト的に安かったものが、今は高くなっていたり・・・とか。したがって、慎重にかつスピーディに、現状と先を見て少しづつ修正を加えていくことが大事だと考えています。
さて、上記のお問い合わせについてですが、見積もりをした結果、型費をかけたとしても、ステンレスロストワックス鋳造で作る方がメリットがあると判断をして頂きました。
こちらは、コスト的なメリットは勿論ですが、それだけが選定理由ではありません。事業環境の変化に伴う切実な課題がありました。
ロストワックス鋳造に変えたもう一つの理由はこんな言葉に表れています。
「いまは、溶接する人がいなくなってきて困る。溶接屋さんでさえ『こうやって一体化できるんだったらいいね』って言ったりしているよ」
実は溶接屋さんも手一杯状態で面倒な溶接はやりたくない。どうしても溶接でなくてはいけないところは勿論溶接するしかありません。しかし、他の作り方で代替できるものはそうしてもらった方が良いと思っているのです。職人さんが減っていく中、多くの余力がないのが事実なのです。
溶接会社が少なくなってきている事実に加え、更に部品点数を少なくすることもできます。これがもう一つのメリットです。
今までは、溶接される複数の部品を頼んで、そして溶接作業を頼んで・・・と、その管理をしていました。つまり部品の在庫管理、部品調達の納期管理、溶接作業の納期管理・・・。生産性を高めていかなくてはいけないというトレンドの中、管理に時間をとられていては、生産性はなかなか上がりません。そう、管理は何も生まないのです。
これらを解決するのがステンレスロストワックス鋳造です。今回は、ステンレス鋳造に置き換えるというだけではなく、在庫管理・納期管理の手間削減といったメリットも併せてお伝えしたことで、プラスαのメリットを感じていただけたのではないかと自負しています。そしてなにより、お客様にとってのメリットを多角的に考え、お伝えするのが「ステンレス鋳物のプロ」の役割なのです。
もし、今回のコラムをご覧になり、「溶接作業がボトルネックになっているものがある」と思われた方は、是非お気軽にお問合せ頂ければと思います。何らかの解決策をご提示することができるかもしれません。
モリチュウでは、お客様のニーズに合わせて、素材や製造方法のご提案をしています。
調達面での課題、開発面での課題について、お話を聞きながら解決策のご提案をいたします。進めてしまってから後に戻るリスクを避けるためにも、今モヤモヤしていることがあれば、是非以下URLよりお問い合わせください。何か新しいヒントが見つかるかもしれません。
株式会社モリチュウ
代表取締役 森 雄児