ステンレス鋳物の「強度」を正しく知ろう!

その他

 先日、お客様からこのようなご質問をいただきました。
「実は鋳物についてあまり詳しくなくて……。ステンレス鋳物はどの程度の強度があるのでしょうか?」
「錆を考えるとステンレス一択なのですが、SUS304などの鋼材と強度は変わりますか?」

 これらは設計現場でよく耳にするお声であると同時に、私たち供給側が「ステンレス鋳物」の特性をまだ十分にお伝えできていないのだと反省する瞬間でもあります。

 現代の産業機械や厨房機器には、小型化と高性能化が同時に求められています。設計現場では「薄肉化しても壊れない素材はどれか」「摩耗や錆による強度低下をどう防ぐか」という課題が常に付きまといます。特に「アルミや銅合金では強度が足りない」「鉄鋼では腐食による短寿命化がネックになる」というケースが増えています。

 多くの設計担当者様にとって、SUS304などの「ステンレス鋼材(板材・丸棒)」は非常に馴染み深く、強度の感覚も掴みやすい素材です。しかし、これが「鋳物」となると、途端に判断基準が曖昧になるケースが多く見受けられます。材料メーカーに相談しても、鋳造特有の性質まで踏まえた明確な回答が得られず、困惑された経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
その結果、鋳物の特長を活かしきれず、過剰設計による「コストアップ」や「生産性ダウン」を招いている現場を私たちは多く目にしてきました。

 モリチュウでは「鋳物のプロ」として、ロストワックス精密鋳造の技術と、数値的根拠に基づいた素材強度の知識を掛け合わせ、お客様の部品設計を最適化するサポートを行っています。
では、気になる「数値」を比較してみましょう。

【主要素材の強度比較データ(代表値)】

項目ステンレス鋳物 (SCS13)ステンレス鋼材 (SUS304)アルミ鋳物 (AC4C)
引張強さ440 N/mm²以上520~750 N/mm²150 N/mm² 以上
伸び30% 以上40% 以上3% 以上
硬さ(HBW)183 以上187 以上80 以上


ポイント:
・ステンレス鋳物は、鋼材(SUS304)と比較して、強度・伸びともに約80%程度の数値を維持しています。
・アルミ鋳物(AC4C)と比較すると、強度は約3倍、伸びにいたっては約10倍もの粘り強さがあります。

 ここで重要なのは、「鋳物は鋼材より数値が低いから劣っている」ということではありません。例えば、これまで複数の部品を溶接して製作していたものを一体鋳造に置き換える場合、数値的根拠に基づいた強度計算を行うことで、製品の信頼性を担保しつつ、溶接コストの削減や構造の簡素化(一体化)が可能になります。また、アルミには「軽量化」という独自の強みがあり、用途によってはアルミ鋳物が最適解となる場面も数多く存在します。
 素材や製法には、それぞれに「得意分野」があります。その特性を見極め、用途に応じた最適解をご提案することこそが私たち「鋳物のプロ」の役割です。

 人も部品も、まさに「適材適所」が大切ですね。

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-追伸-
モリチュウでは、お客様の幅広いニーズに合わせて、適切な素材や製造方法のご提案をしています。
製造面、調達面、開発面での課題についてモヤモヤしていることがあれば、是非お問い合わせください。お待ちしています!