ロストワックスの型はどのくらい持つの?
「ロストワックス鋳造で使う型はどのくらい持つのでしょうか」時々お客様から聞かれるお問合せです。ここで言う型はロストワックス鋳造の「蝋型」を作る型のことです。また、「どのくらい持つのか」は「どの位の期間使えるのか」という意味になります。
お客様の感覚で言うと、「型代は高い」というイメージがあります。確かに決して安い物ではありません。そのため「出来るだけ長くもたせたい」と思うのは当然です。
では、今回のお問い合わせに対する答えは、「半永久的」となります。そう、ほとんどずっと使えるのです。
※「ステンレス鋳物のプロ」は創業80年の経験から、鋳物技術、ステンレス等素材の特性、そして厨房機器・食品機械メーカー様の業界特徴やニーズを熟知した上であらゆる対策を講じることが可能な「ものづくり設計サポーター」です。
蝋形を作る金型は「アルミ」で出来ています。そして、その型の中に流し込むものは「 ロウ」です。そう、いわゆる「ろうそく」の「ロウ」です。ロストワックス用のロウは大体摂氏110度程度で溶けます。対するアルミは、溶解温度の低い材質とは言え融点は約660度です。 したがって、110度程度の物が何回触れてもアルミはびくともしないわけです。どちらかというと、ロウを型から取り出すときに何らかの理由で叩く必要があったりすると歪んでしまう現象が出ますが、滅多にありません(ちゃんと抜型のピンがついています)。
さて、殆ど半永久的に使える蝋型を作る金型ですが、その型代はどうでしょうか。実は鋳鉄の型代よりも安くなる傾向にあります。
最近、鋳鉄の世界ではいわゆる手込鋳造が少なくなり、機械で鋳型を作る(自動造型機)が多くなっています。したがって機械に合う型を作らなくてはならないのと同時に、造形時の砂の圧力に耐えるだけの定盤の厚みが必要になり、結構コストが上がっています。また、鋳物を中空にする場合は、いわゆる中子を作るための型が必要になります。
ロストワックスの場合、中空が必要であっても中子を作る必要はありません(形状による)。ダイキャストの様一発で抜けない部分は寄木細工のような方法で抜くことが出来ます(ここは複雑なので詳細の説明は省きます)
いずれにしても、ロストワックス鋳造用の型はそれほど高くありません。通常使用するそれ程大きくない、例えば15cm角程度の物であれば、30万円以上はかからないのが一般的です(勿論形状の複雑さによります)。
例えば30万円の型を作ったとして、その部品を年間2000個(月約150~200個)で5年間、10000個使うとすると、300000÷10000=30円となり、 それほど大きな負担になりません。年間1000個でも60円ですし、それが10年間使う部品であれば、更にコストが下がります。型は半永久的に使えます。仮に1個あたり数十円の型費がかかったとして、複雑形状なものを一体で出来るなどその特長を活用できるのであれば、メリットがあるかもしれません。
このようにして考えると、部品によってはロストワックス鋳造に変える際のコストイメージが少し具体的になるのではないでしょうか。
さて、一般的に型については分かりづらいと思います。型がどの位もつのかであったり、型代がどの位かかるのか、その相場が分かりづらいといったこともあります。ただ、鋳物を作る上で型は大切なものですし、決して安いものではありません。もしロストワックス鋳造のロウ型はもちろん、他の作り方の型についての情報でお困りの方がいらっしゃったらお気軽にお問い合わせください。
モリチュウでは、お客様のニーズに合わせて、素材や製造方法のご提案をしています。調達面での課題、開発面での課題について、お話を聞きながら解決策のご提案をいたします。進めてしまってから後に戻るリスクを避けるためにも、今モヤモヤしていることがあれば、是非以下URLよりお問い合わせください。何か新しいヒントが見つかるかもしれません。
株式会社モリチュウ
代表取締役 森 雄児